訪問診療と歯科衛生士
超高齢化社会に伴い歯科衛生士の就業場所は歯科診療施設の他に、介護老人保健施設や訪問診療などますます活躍できる場が広まりつつあります。
今回は今注目されている訪問診療についてお話しします。
日本社会は超高齢化社会を迎え、訪問診療はさらに需要が伸びていくことは間違いありません。
咀嚼機能のリハビリや口腔ケアなどを必要としている高齢者の中には歯科に行きたくても行けない方が多くおられます。
そのような方の自宅や施設に訪問し治療することで快適に生活していくためのお手伝いをすることが訪問歯科の役割です。
訪問歯科の現場では歯科衛生士は歯科医師の指示のもと、被介護者の定期的な口腔のクリーニングをおこないます。また、食べ物の噛み方・飲み込み方(嚥下機能)の現状維持や向上の仕方について、助言や指導をすることも仕事の1つです。
口腔内を清潔に保つことで糖尿病や動脈硬化など全身疾患のリスクを低下させます。
また嚥下能力の低下による誤嚥事故を未然に防ぐために食べ物の噛み方・飲み込み方についての助言や指導を行います。
訪問診療では外来とは異なり患者さんの容体や環境に合わせて、臨機応変な対応が求められますので、技術以外にもコミュニケーション能力や対応力が必要とされます。
患者さん本人がうまくお話しができないこともありますので、周囲の人からの聞き取りにより治療を行い介護者への助言を行っていきます。
食べることは人生の中で大きな楽しみであり患者さんのQOLに大きくかかわることです。
訪問歯科診療ではその方の生活の場に入って治療をするためその方の生活を知り、それに合わせた適切な治療が可能です。
また嚥下機能のリハビリテーションも本人とご家族、介助者の協力があれば機能回復の可能性は大いにあり生活を好転させることができます。
食べられなかったものが食べられるようになった、お口の中が清潔になり気持ちよく過ごせるようになったなど、患者さんから感謝されたとき歯科衛生士として大きなやりがいを感じることができるでしょう。
今こそ、口腔内の健康づくりを通して、食べる力、生きる力をサポートする歯科衛生士の活動に大きな期待が寄せられています。